ここでは、基本的なディジタルフィルタの例として、1次のローパスフィルタと ハイパスフィルタ、および2次のバンドパスフィルタとバンドエリミネーション フィルタを実現するDSPプログラムを作成し、周波数特性を調べてみましょう。
【実習 4-3-1】<1次ローパス(低域通過)フィルタ>
まず、最も簡単な1次のローパスフィルタの特性を調べてみましょう。 このフィルタは、図に示すように現在時刻x(n)の値と一つ前の値x(n-1)を 単純に足し合わせて出力するもので、実習 4-1-1で行った2点平均と全く 同じ処理をしています。
【実習 4-3-2】<1次ハイパス(高域通過)フィルタ>
1次ローパスフィルタと同じ構成で、一つ前の値x(n-1)の係数を−1にすると、 1次ハイパスフィルタとなります。このフィルタでは、実習 4-1-2で行った差分と 全く同じ処理をしています。
【実習 4-3-3】<2次バンドパス(帯域通過)フィルタ>
1次ローパスフィルタと1次ハイパスフィルタを図のように組み合わせる (縦続接続する)と、2次バンドパスフィルタが実現できます。
ここでは、最初にローパスフィルタにより取り出される低周波成分と、 次にハイパスフィルタにより取り出される高周波成分が、いくらか オーバーラップしていることを利用し、そのオーバーラップの周波数成分のみを 取り出せるようにしています。ここで各々の信号の流れをよく見ると、上の構成は次のように簡略化する ことができます。
【実習 4-3-4】<2次バンドエリミネーション(ノッチ)フィルタ>
更にフィルタの処理を増やしてみましょう。図のような2次のフィルタを 構成して、一つ前の入力データx(n-1)の係数を -2cos(2πf0Ts)に選ぶと、 f0の 周波数付近だけを通さない(消去する)ことのできるフィルタが実現できます。 これを2次のバンドエリミネーションフィルタ(ノッチフィルタ)と呼びます。 ただしTsはサンプリング周期(=1/サンプリング周波数)です。