波の平均的な強度(エネルギー)を表すのに「波形の実効値」がよく用いられます。 連続時間信号x(t)に対する実効値xeは、次の式で 計算されます。
すなわち、波形を2乗して、それをある一定時間で平均し、全体の平方根を 取ったものが、実効値となります。また、実効値を2乗すると、波形の 平均的エネルギーとなります。 通常、交流電圧計などで表示される値は、この実効値となっています。 例えば正弦波に対しては、実効値は波形振幅(片側の山の高さ)の 1/√2(=0.707)となります。【実習 5-2-1】
この実効値を利用すると、入力信号の大きさに合わせてDSP内部での信号倍率 (利得)を調整し、自動的に出力信号の平均的大きさを一定にコントロールする ことのできる「オートゲインコントロール(AGC:自動利得制御)」を作成 することができます。具体的には、出力信号の実効値を常にモニタしておき、 それが既定値よりも大きい場合は、入力信号に1未満の係数を乗算して小さく して出力が既定値に収まるようにします。逆に出力が小さすぎる場合は、 入力信号に1より大きな係数を乗算して出力信号の実効値を大きくします。 このようなAGCの機能は、例えばAMラジオなどに実装されており、電波の強い ところでも弱いところでも同じ大きさの音声信号を出力するために使用されて います。
【実習 5-2-2】